大学の部活動って実際どうなん?【大学入学を控える皆へ】

中学、高校を部活動に捧げた人たちは多いだろう。そして、大学進学後も部活動あるいはサークルで、好きなスポーツなどを続けたいと考える人もいるかもしれない。私は国立大学で部活動に所属し、4年弱活動した経験があるうえ、別の部活動・サークルに所属する友人の話などもよく耳にしていたので、これらを参考にしながら、部活動についての体験談や考えを独断と偏見に基づいてお話ししたいと思う。なお、スポーツ推薦で進学するような私立大学のガチ部活動とは全く話が異なるので、そのようなケースは別と割り切って参考にしていただきたい。

大学で部活動をやることのメリット・デメリット

そもそも部活動をやる上でメリット・デメリットを考えるなんてのが無粋ではあるが、一応バカにならないくらい人生に影響を与えると思うので、参考程度に。

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また、補足事項として部活動・サークルに関する少し細かいこと、そして実例を2ページ目に載せた。こちらの方が真に伝えたいことかもしれない。

補足・部活動の実例(2ページ目)

中学・高校の部活動よりも自分の裁量で練習が可能

中高では顧問の先生がいて、熱心に指導された人も多いのではなかろうか。強豪の大学ではそのようなケースもあるが、私のいた部活動のように強豪でも弱小でもない中堅部活動では指導者がいないことが多い。そのため、練習スケジュールやカリキュラムを自分たちで考える必要がある。これは大変なことだが、よく言えば自分たちがやりたいプレースタイルの実現に向けて練習を組めるということである。顧問に押しつけられた練習は嫌だったかもしれないが、自分たちでやると決めた練習はモチベーションが上がる。人によっては自分で考えて練習した方が上達する人や、権威のある先生ではなく年の近い同期や先輩に教えてもらって伸びる人もおり、怒られる恐怖からやるよりも競技を好きでいられるので、やっていて楽しいと思う。少なくとも私は小中高のどの部活動よりも楽しく競技に打ち込めた。

部活動に費やす時間は大学生活の多くを占めるため、思ったほど遊べない・勉強で少し苦労する

デメリットとして真っ先に上がるのがこれ。思ったほど遊べないのは本当だが、全く遊べないわけではない。それに、同じ部活動の仲間と週に何回も会って練習していればそっちで仲良くなるので、友人関係はそんなに心配要らないのではと思う。ただし、活動スケジュール次第では旅行など長期間の遠出は難しいかもしれない。在学中に海外を訪ねてまわる、などというのは部活動に所属するとやや難しい。

また、人によっては勉学で少し苦労するかもしれない。大学の勉強(特に理系)は結構難しく、まともに課題をやろうとするとある程度時間が必要になる。激しい運動後は疲れ果てて課題をやる元気なんてないので、帰宅したらすぐに風呂に入って寝てしまい、朝起きて授業前ギリギリでやる羽目になったりする。私が部活動をしている間に、友人らはお互い教え合って課題を高水準でこなすのだ。試験勉強についても同様で、試験勉強に当てられる時間が少ないので当然不利になりやすい。学部・学科内でしっかり友人を作っておけば、なんとか教えてもらえるかも。

やっている当時は辛くても、最終的には良い思い出・経験となるケースが多い

部活動を最後までやり抜いた人の多くは、最後まで続けて良かったと言う。辛くてやめようかと思う人もいるが、それでも最後までやり抜けば自信に繋がる。また、勝利の喜びを仲間と共有したり、敗北の悔しさをバネに練習に励むなど、日々の生活では得がたい心への刺激が鮮明な思い出となって人生を彩る。そして、苦楽をともにした仲間は一生の友人になる。心からの友人がいるかどうかはその後の人生の幸福度に大きく関わってくるので、そういった意味で部活動はとても良い機会をくれる。

また、スポーツ、楽器、それ以外のどのケースでも、趣味として一生付き合っていけるものを体得でき、これは社会に出てからのメンタルコントロールに非常に役立つ。社会人サークルなど新しいコミュニティに飛び込んで新たな交友関係を構築できるし、身体を動かすことでストレス解消できる。少し歳をとったらわかるが、これめっちゃ大事。社会人になってからも、部活動経験の恩恵を受けられるのだ。

さらにもう一つ、部活動という組織の運営も貴重な経験の一つである。多くの場合では部長・副部長に加えて主務や渉外、会計などの各役職が割り振られ、それぞれの仕事をこなすことで組織運営に携わることになる。これは高校までの、競技中に主な意味を持つような関係(司令塔や精神的柱など)ではなく、部員・時間・資金などのことを考えながら組織としてのベストを模索するための役割分担であり、言ってみれば小さな企業みたいなものである(営利目的でないことは決定的に違うが)。組織の運営というのはやろうと思ってもなかなかできないことなのに、社会人になるとどこかで直面する課題の一つである。小規模ながらもそれを学生のうちに経験できるという意味で、部活動はとても有意義であると思う。

部活動経験は就活で少しだけ有利に働く

就職活動(就活)時に企業に提出するエントリーシート(ES)という書類には、「学生の頃に力を入れたこと」、通称ガクチカの記述を求められる場合が多い。部活動をやっていればとりあえずネタが一つある状態となり、かなり書きやすい。実際、部活動をやっていないと書くことに困るという話もちらほらあるが、サークルやアルバイト、その他課外活動でも何かしら一生懸命やっていればここは大差ないように思う。一方で部活動に関しては前述の通り組織運営の経験や、それを通じて集団における協調性の大切さを学んでいるという点が評価されやすいようで、面接ではバイトなどの話と比べて部活動の話は露骨にウケが良かった(体験談)。

一般的に部活動では辛い練習に耐えてメンタルが鍛えられ、成功体験を積み重ねて自信がつき、体育会系なら健康的な肉体を手に入れる人がほとんどである。また、上下関係が厳しく、礼儀および従順さが自然と身につく人が多い。これらは絶対ではないが、そのような傾向があるのは確かなので、世間は大学の部活動出身者を「ストレス耐性があって明るくて健康で、上の言うことをきちんと聞いてくれる」と捉えやすいし、実際そうだという社員さんもいた。以上の理由で「大学の部活動出身」という肩書きはその人の印象をかなり左右する。恐らく企業側は「部活動経験者」というだけで選考通過させたりしない、と主張するだろうが、事実として私の周りの部活動経験者は選考通過率が明らかに高い。なんならネットで調べたら就活サイトで体育会系出身者は就活で有利と明言されているので、詳しくはそちらをご参照いただきたい。ただし、部活動経験は選考で多少有利になる程度で、内定をもらえるかは結局本人次第であることは肝に銘じておいてほしい。というかあくまで副産物みたいなもので、就活のために部活動やるのもどうかとは思うが…。

ここまでのまとめ

以上が、私の考える大学の部活動のメリット・デメリットである。打算的なことばかり述べてきてしまったが、本来は当人の「やりたい」という思いに従って飛び込むのが良いと思うし、実際それが入部のきっかけになる場合がほとんどだと思う。正直、部活動に所属して良好な環境で好きなことに一生懸命打ち込むというのは、とても良い経験だと思う。友達と毎日遊んで暮らしたいわけでもなく、スポーツや楽器など何か打ち込みたいものがあるなら、私は部活動をおすすめする。本気でやりたいことに打ち込む機会は貴重だから。

次のページに補足と実例を載せている。

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